TRUST SMITH株式会社(東京都文京区)は、保有するAI/ロボティクス技術を応用し、宇宙産業へ参入する。無人ロボット技術による月面上の実験施設の建設を目指す。
宇宙産業の民間化・商用化
20世紀の宇宙開発は、莫大なコストがかかり、かつ軍事利用が目論まれていたことなどからNASAやJAXAなどの政府機関による営利を目的としないプロジェクトがほとんどであった。
しかし近年、テクノロジーの発展によりコスト低減が可能となったことで、SpaceXによるロケット打ち上げ成功やGITAIによる宇宙用作業ロボットの開発など、民間企業による商用目的での宇宙開発が盛んになっている。
宇宙産業の課題
宇宙開発は他産業と比べ、作業にかかるリスクが高い。
例えば、宇宙空間での作業には
- 人間は宇宙環境で放射線によるダメージを受ける
- 人間が取り組める作業時間は少なく、かつ取り組める作業自体にも限りがある
- 人間は宇宙で作業するまでに訓練を始め、多くの準備が必要であり、かつ命に関わるため、滞在期間にも大きな制約がある
のような課題が存在する。
今後の宇宙開発を促進していくうえでこれらの課題の解決が求められる。
TRUST SMITHは、自社で保有する自動運転、経路計画、物体認識、データ分析などの技術を応用することで、これらの課題を解決する。
TRUST SMITHの技術
TRUST SMITHがこれまで研究・開発してきた技術は以下。
アームロボットに関わる技術
- 動的な障害物を自律的に回避するロボットアームの『モーションプランニングアルゴリズム』(特許取得済み)
- 乱雑に積まれた物体に対する、姿勢推定およびロボットアームの『把持候補点生成アルゴリズム』
- 予め学習していない対象物をロボットアームでピッキングする『物体認識アルゴリズム』
- 荷物の積み付けを自動で算出する『積み付け計画アルゴリズム』
- 自律走行の可能な移動式ロボットアームを用いた対象物の『ピッキングシステム』
AGVに関わる技術
- あらゆる車体に適用可能な汎用型の『自律走行アルゴリズム』
- 1000台規模の移動ロボットを最適に制御する『群制御アルゴリズム』
ドローンに関わる技術
- ドローンの無人充電を可能にする世界最高精度の『自律着陸システム』(特許取得済み)
画像認識に関わる技術
- 曲面を含むような物体や上下反転しているような物体にも対応することが可能な『領域切り分けアルゴリズム』
- AI-OCRと、画像内の対象ラベルを特定するアルゴリズムを組み合わせた『入出荷検品の自動化システム』
アルゴリズムの開発だけではなく、自律搬送ロボットの機体開発や自動倉庫を構成する棚の製造技術など、ハードウェア開発の技術も持っている。
これらの技術を組み合わせ、宇宙産業の抱える課題を解決するプロダクトを開発する。
宇宙産業における活用例
TRUST SMITHは自社技術を活用して、下記のように宇宙空間で行われる作業の自動化・効率化を図る。
- 宇宙ステーション船内外の作業
- 宇宙ステーション外における、動的に環境が変化する極限環境下でのアームロボットによる『ロバストな自動ピッキング』
- 軌道上サービス(衛星への寿命延長、宇宙デブリ除去)におけるドッキング・寿命延長・修理・メンテナンス作業
- 自動航行ドローンと画像認識アルゴリズムを活用した、宇宙機やステーション街などの『故障検知システムによる点検の自動化』
- 月面探査・基地開発作業
- 汎用的に様々な車両を自動運転するアルゴリズムを活用した、様々な外乱が想定される極限環境下での『月面探査機の自動運転』
今後の展望
米国の市場調査会社レポートオーシャンは、2021年10月4日の市場調査レポートにて、2027年には宇宙ロボット市場は約60億ドルとなると予測している。
政府機関だけでなく民間企業も積極的に投資を続ける宇宙産業は今後、より発展していくことが確実であり、TRUST SMITHはこれまでに研究開発してきたロボットの「目・足・腕・頭脳」となる技術を活用して宇宙産業へ参入し、人類の進歩に貢献していく。
TRUST SMITH株式会社 会社概要
代表:大澤 琢真
設立 :2019年1月18日
所在地 : 東京都文京区本郷4丁目1−1 菊花ビル701
会社HP:https://www.trustsmith.net/